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踊り場

踊り場って何なんだろうか。
踊り場で実際に踊っている人は見たことがないし、踊るには少し狭いし、何より一歩間違えば階段から真っ逆さまで危ない。
もし将来子どもができてそのスペースが「踊り場」と呼ばれている事を教えた結果、ほんとうに踊り場で小粋なダンスを踊って怪我でもしたらどんな顔をすればいいのだろう。
純粋すぎる我が子をただ強く抱きしめてあげることしかできないのか俺は。

純粋さ故の事故を引き起こす可能性のある危険なネーミング。
なぜ階段の折り返しスペースに「踊り場」と名付けたのか。

気になったので調べた。
明治時代に西洋から様々な文化が入ってきた。それには西洋の建築方法も含まれていて、それにともなって奴は、踊り場は伝来したらしい。
それまでの日本の建築だと階段は折り返さず一直線だったという。
新しい技術である西洋建築は社交的な場に多く適用され、ドレスを着た貴人麗人たちがヒラリヒラリと階段を折り返した。
それはもう優雅な折り返しっぷりだったのだろう、そのドレス姿で折り返す様が「踊っている」ように見えたのだそうだ。
それで「踊り場」。
安直すぎない?


しかし、そもそもなんで踊り場って必要なんだろう。
1階から2階に上がるのに1度踊り場を経由すると、気分的に3階分の段を上がった気分になる。踊り場のせいで2倍疲れているのだ。
精神的な疲労を増幅させる踊り場の存在意義を問うぞ。俺は。


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踊り場とは、階段の途中に設けられた幅の広い平坦な面のことです。
階段の方向転換や、小休止、転落の危険を緩和するなどのために設けられます。デパートなどでは休憩場所や化粧室として利用されているケースも多く、踊り場を設けることで階段の負担感が軽減されます。
まるで逆の事を言っている。
俺は踊り場のせいで2倍疲れているというのに。
…いや、元々の日本建築のように階段が一直線になると考えると、

折り返さない分必要な高さを登るのに使える距離は短い、よって階段の角度は急になる。
そして目的地まで一直線だということはゴールが見えているという事。それと同時にゴールまでの道のりの長さを実感してしまうことになる。
確かにこれは、肉体的にも精神的にも負担感は大きいかもしれない。

俺は踊り場に助けられていたのかもしれない。今まで存在意義を問い続けてきた踊り場に。
踊り場のこと、ちょっと勘違いしてたみたいだ。
確かにワンフロア登るのにツーフロア分登った気分になるかもしれない。
しかしその裏で踊り場は、転落した時の被害をとどめ、階段の角度を緩やかにし、そして目的地まで諦めずに登る手助けをしてくれていたのだ。
不器用なだけで根は優しい奴だったのだ。
感謝を込めていつか踊り場でダンスパーティーを開催したい。
たとえ盛り上がりすぎて足を踏み外そうとも、安心である。
少し落ちたその先で踊り場が優しく受け止めてくれるのだから。